ちよ先輩のてのひらの上。
……先輩は、……いいんだ。
私が知りたいって言えば、キスだけじゃなくて、……こういうことも、彼女じゃない子とできちゃうの?
もし……ここにいるのがわたしじゃなくても……。
——そんなの、……やだ……。
私は、……震える手で、先輩のネクタイをきゅっと握った。結び目を、ゆっくりと解いていく。
……ちよ先輩だったら、いい……。
ここで頑張れば、先輩が、私を見てくれるかもしれない……。
口から飛び出そうになる心臓を抑え込みながら、私は手を動かした。
シュル、と解けたネクタイが、私の上に落ちてくる。
大きく息を吸い込み、続けて、目の前のワイシャツのボタンに手をかけた——。
「——待って」
私の手を、ちよ先輩が慌てて制止した。
驚いて見上げると、先輩の表情には戸惑いが浮かんでいた。
「——ごめん」
「……え……?」