ちよ先輩のてのひらの上。
——恥ずかしい。
恥ずかしくて、消えてしまいたい。
まんまと冗談を本気にして……バカみたい。
『付き合ってる人とじゃないと……ダメだよ』
『ごめんね』
……謝らないでよ。
そんな風に言われたら……まるで、私とは付き合えないって言われてるみたい……。
目から溢れる涙を乱暴に拭って、廊下を走った。
階段を駆け上がる途中で、予鈴が鳴る。
3階までやってきたところで、女の子をひとり追い抜かした。
「……ひなたちゃん?」
振り返ると、真白ちゃんが私を見上げていた。
「ど、どうしたの!」
涙でぐしゃぐしゃの私の顔に驚いて、駆け寄ってくる。
「——真白ちゃん……っ」
私は思わず、真白ちゃんにぎゅっと抱きついた。
華奢な首元に腕を回す。
真白ちゃんの手が、戸惑いがちに私の背中に回った。