ちよ先輩のてのひらの上。

「……でも、……お兄ちゃんになんて説明すればいいか、わからないし……」


視線を彷徨わせながら私は続けた。


「別に今まで通り、……普通の、先輩と後輩として……」


そこまで言って、口ごもる。


……私ってば……。
結局、ちよ先輩と離れたくないんだ……。

……でも……別に、告白してフラれたわけでは、ないし……。

さっきのことなんて、なかったことにして——。


「ひなたちゃん、……あのね」


まるで深く息を吐くような声が落とされた。

真白ちゃんは、口を開いたものの、その先を迷っているようだった。

その神妙な様子に、私はじっと続きを待つ。


「……ちよ先輩は、結城先輩の友達だし……。仲良しで、信頼してるみたいだったから、私の勘違いかもって思って、言わなかったんだけど……」


躊躇いながらも、ゆっくりと続けられた言葉。