ちよ先輩のてのひらの上。
「え……?」
「これも、謝らないといけないんだけど。……実は俺、盗撮の犯人を知ってるんだ。……黙ってて、ごめん」
私は思わず大きく目を見開いた。
「……どういう、ことですか?」
ちよ先輩は、静かに息を吐いてから続けた。
「入学式の日、ひなちゃんとそらの後をつけてる奴に気づいて、……後日、注意したんだ。まだ写真を撮るだけで留まっていたし、なにか実害を与えるつもりはないみたいだったから。写真を消去するのと、何枚か証拠として預からせてもらうのを条件に、厳重注意ってことで終わらせた」
「じゃ、じゃあ……あの写真は、ちよ先輩がその犯人から預かったもの、ってことですか?」
「そういうこと」
……そうだったんだ……。
犯人から直接入れられたものではなかったことに、ホッと胸を撫で下ろす。
けれど、私の心の中のモヤモヤは、まだ晴れきっていない。
「でも……、それならどうして先輩は、ロッカーに入れるなんてこと……」
それも、誰が入れたかわからない状態にするなんて。
普通に説明してくれていれば、こんな大ごとにはならなかったのに。
……やっぱり、私の反応を面白がるつもりで——。