ちよ先輩のてのひらの上。
そんな私のジメジメとした思考を遮るように、ちよ先輩が答えた。
「……心配だったんだよ。犯人が大人しく言うことを聞いてくれる確信はなかったし、ひなちゃんに何かあってからじゃ、遅いから。ひとりにしたくなくて、——ああすれば、一石二鳥だって思ったんだ」
先輩がこちらに近づいた。
私の体は、今度は逃げるようなことはせず、その場に留まっていた。
「あの写真を犯人からだと思わせて、ふたりに見せれば……。心配性のそらなら、ひなちゃんをひとりにはしないだろうし、ひなちゃんは、写真にそらも映っていることを考えて、そらと距離を置こうとするだろうなって。……そうなったら、そらは一番に俺を頼ると思った」
真っ直ぐに見つめられて、身動きが取れなくなってしまう。
まるで壊れ物に触れるような手つきが、私の頬をなぞった。
「そらに頼まれる形になれば、堂々と一緒にいられるし。それに……ひなちゃんを守る役目を、他の誰かに譲るのは嫌だったからね」
先輩の言葉を必死に理解しようとしていたけれど、頭はうまく働いてくれない。
反対に、静かな生徒会室に響く心地よい声に、胸はドキン、ドキン、と高鳴り出していた。