ちよ先輩のてのひらの上。
「——大好きだよ」
落とされた囁きが、すとんと私の胸に入り込んだ。
「ねえ、ひなちゃん。さっき言ってくれたこと、もう一回お願いしてもいいかな。それとも、……今の話を聞いて、幻滅した?」
ゆっくりと、縮まっていく距離。
「ひなちゃんの気持ち、……ちゃんと聞きたい」
そっと細められた瞳に吸い込まれるように、先輩から目が逸らせない。
……幻滅、なんて……。そんなこと、ちっとも思わなかった。
私、おかしいのかな。むしろ、全部聞き終わってからホッとしちゃったんだ。
——これからも、ちよ先輩の隣にいられるんだって。
「……私、も……」
震える唇を、ゆっくりと開いた。
「私も、ちよ先輩のことが——」
——すきです。
その小さく頼りない声は、あっという間に重なった唇によって、ちよ先輩へと、飲み込まれてしまった。