ちよ先輩のてのひらの上。



「……んんっ」


降り注いでくる啄ばむようなキスに、呼吸がままならなくなる。


「せんぱ……待って……っ」


顔を背けようとしても、後頭部に手を回されてしまう。

苦しさを訴えるように、先輩の体を手で制して身をよじるけれど、背後には硬い壁の感触。


う、うそ……。いつの間に……っ。

ついさっきまで扉の近くにいたはずなのに、気づけば、教室の端っこまで追いやられてしまっていた。


「ん、やっ……」


唇が、微かに離れる。


「……嫌なの?」


ちよ先輩の拗ねたような声が聞こえた。

耳にじんわりと甘く響いて、胸がきゅうと締め付けられる。


「……そうじゃ、なくて……もう少しゆっくり……」

「ゆっくりなら、いっぱいしてもいい?」

「……っ」


私が返事をする前に、もう一度、ちよ先輩の顔が近づいて。

今度はそっと、触れ合った。

味わうように、焦らすように吸われて、余計に体が熱を帯びていく。

最後に、ちゅっ、とわざとらしく音を立てて離れると、ちよ先輩がくすりと笑顔を浮かべた。

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