ちよ先輩のてのひらの上。
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じんわりと喉を通っていくお茶の温かさに、ホッと息を吐いた。
養護教諭の五十嵐先生が、気遣うように私の背中に手を添えてくれた。
静かな保健室の外から、パタパタと足音が聞こえる。
やがて扉が開かれると、お兄ちゃんに連れられた真白ちゃんが、息を乱していた。
「……ひなたちゃんっ」
今にも泣きそうな顔で、こちらに駆け寄って来る。
「大丈夫なの?怪我はない?」
「うん。なんとか……」
「……よかった。よかったよぉ」
震える声をこぼしながら、私の背中に腕を回した。
五十嵐先生が、それを見て顔をほころばせる。
「……ふたりとも、少し結城さんのことを任せてもいいかしら。職員室の様子を見て来るから」
「はい」
お兄ちゃんが、頷いた。
五十嵐先生が立ち上がると、入れ違うように、真白ちゃんがその場に腰を下ろす。
私は、去っていく白衣の後ろ姿を慌てて引き止めた。