ちよ先輩のてのひらの上。


「ちよ。許可なくひなたに触んな」

「……いちいち許可がいるわけ?」

「当たり前だ」

「じゃあ。触っていい?」

「だめに決まってんだろバーカ」

「……。納得いかないな」


私を置いて繰り広げられる会話に、ジタバタと動く。

……く、首……くるし……。

後ろ襟を掴むお兄ちゃんの手を、ペチペチと叩いた。


「あ、悪い」


パッと解放され、急いで息を吸い込む。遅れて、少し前の自分の状況を自覚し、……徐々に顔が熱を帯びた。


……びっくりした……。

ちら、と目線を下げ、私は『ちよ』と呼ばれたその人を見た。

再び視線が交わり、ぴょこんと心臓が跳ねる。


「……ごめんね。よく見えなかったから」


ふっと微笑んで、私の手元を指差した。


「……あ、すみませんっ」

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