ちよ先輩のてのひらの上。


……だって、小学生の頃と高校生の頃じゃ、すっかり別人なんだもん。

どちらかというと、あの頃は、可愛らしい感じだった記憶があるし……。


「……背も伸びてるし、……すごく、かっこよくなってたから……わからなくて」


全然気づけなかった。今でも、まだ少し信じられないくらいだ。

ボソボソと言うと、ちよ先輩は目を丸くして、


「……それは、嬉しいけど」


私から目を背けた。


……あれ?
も、もしかして先輩、照れてる……?

初めて見る様子に、戸惑ってしまう。


「覚えてくれてるってわかったときも、自分から言い出すのは、なんか違うと思ったんだ。俺は目の前にいるのに、ひなちゃんの中では、心の中にいる男と別人だっていう認識なんだと思ったら、面白くなくて……」


思わずじっと見つめると、ちよ先輩はどこか居心地が悪そうに、額をかいた。


「ひなちゃんに、自分で気づいてもらいたかった」


先輩はそう言ってはにかむと、もう一度私に視線を戻した。


「……だから今、すごく嬉しい」


くしゃりと無邪気な笑顔を向けられて、心臓のドキドキが、鳴り止まない。


……どうしよう。なんだか、ちよ先輩が可愛いよ。

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