ちよ先輩のてのひらの上。


「……紺野には、どこまで触られた?」


そこまで言われて、私はようやく気がついた。


「俺はちゃんと、間に合えたのかな」


力なく微笑んだちよ先輩。


——そっか……。

私……、自分のことで、精一杯になってた。

ちよ先輩に守ってもらえて、安心しちゃってた。


だけど……。


ちよ先輩は、私のことを好きでいてくれてるんだ。

そんな先輩が、……紺野くんとの間にどんなことがあったのか、気にならないはずがない。

先輩だって、——不安だったんだ。


思わずぎゅっと押さえつけられるような痛みを胸に感じて、


「……大丈夫です、先輩」


私は先輩へと手を伸ばした。


「何もされてないから……。だから、安心してください」

「……ほんと?」

「はい」

「俺のことは、……怖くない?」

「はい」

「俺はひなちゃんに、触れてもいい?」

「はい」


ちよ先輩の頬をそっと撫でてから、手を首筋に移動させる。

腕を回すようにして引き寄せると、先輩の体がゆっくりと近づいてきて——。

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