ちよ先輩のてのひらの上。


……な、なんだ……。お兄ちゃんと一緒に、って意味だったんだ……。

そりゃ、そうだよね……。

早とちりしてしまった自分が恥ずかしくなって、誤魔化すように前髪を触る。


「俺の家族、そらのことすっかり気に入っちゃってさ。イケメンだのなんのって……、連れて来いってうるさいんだよね。たぶん、ひなちゃんのことも可愛いって気に入ると思う」


……。
……また、可愛いって言った……。

じくじくと羞恥心を刺激され、私は困ったように、こみ上げてくる熱をそっと吐き出した。


ちよ先輩のほうは、いたって普通だ。なんの恥じらいもなく、その言葉を口にしている。

……まるで、言い慣れているみたい。

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