ちよ先輩のてのひらの上。
なんだかすごく、……大人だ。
ふたつしか変わらないはずなのに、いちいち大げさに反応してしまう自分が、随分と子供っぽく感じられた。
勝手にしょんぼりしていると、——ふと、先輩が足を止めた。思わず私も立ち止まって、ちよ先輩を振り返る。
先輩は、探るような目つきを、たった今歩いて来た方へ向けていた。
「……先輩?」
不思議に思って声をかけると、はっとしてこちらを見る。
「どうしたんですか?」
「あ、……ごめん。ほら、……そらが」
先輩は歯切れ悪く言うと、もう一度振り返った。
……そういえば。
私はすっかり忘れていたお兄ちゃんの存在を思い出して、校門のほうを見る。
置いてきぼりにされていたお兄ちゃんが、駆け足でこちらへ向かって来ていた。
……それも、あからさまに不満げに。