ちよ先輩のてのひらの上。


流れるように発せられたちよ先輩の言葉が、私の心に引っかかって、その場に留まる。

……ちよ先輩も、モテるんだ。

そうだよね……。
だって、……こんなに、かっこいいもん。


「つーか、わざわざ今持ってこなくても。家で渡してくれればいいのに」


お兄ちゃんの言葉に、私はギクリとした。

ちら、とちよ先輩を横目で見る。


「……私の荷物が増えるもん」

「……それもそうか。よしよし。毎度ありがとな」


わしゃわしゃとお兄ちゃんに撫でられた頭を、私はさっさと整えた。


……どうしてわざわざ、生徒会室に来たかなんて……。

勝手に足がここへ向かっていて、自分でもどうしてかわからなかったけれど、……ちよ先輩に会って、気づいてしまった。

先輩に会えたことを喜んでいる、自分の気持ちに。

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