ちよ先輩のてのひらの上。


……お兄ちゃんは、ちっとも私の存在に気がついていないみたいだ。

……うん。

このまま背後をとっていけば、見つからないはず。


まるでターゲットを尾行するスパイのような気分になりながら、心臓のドキドキを落ち着かせようと、小さく息をつく。


——お兄ちゃんと離れたまま、学校に行き、帰ってくること。

それが、今の私のミッションだ。

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