ちよ先輩のてのひらの上。


校門を出て、バス停までの道のりを歩く間、私はずっとソワソワしていた。

この間はお兄ちゃんもいたから、ちよ先輩とふたりきりなのはこれが初めてだ。


「……わざわざありがとうございます」

「いーえ。もう少しひなちゃんと話したかったから」


私は動きがギクシャクになってしまうのをなんとか堪えて、平静を装った。


……危ない、危ない……。
また、大げさに反応してしまうところだった。

ちよ先輩はこういうことを、……普通に言える人なんだから。

私は深呼吸をしてから、負けじと頑張って口を開いた。


「私も、……先輩とまた話せて、嬉しいです」

「ほんとに?嫌われてないみたいで、よかった」

「嫌いだなんて、そんな……」

「俺、……ひなちゃんとは、もっと仲良くなりたいんだ」


ふわりとした微笑みを向けられて、……私は思わず足を止めた。

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