ちよ先輩のてのひらの上。



***



開いた扉に、みんな揃って入り口へと顔を向ける。急いだ様子で生徒会室に現れたのは、ちよ先輩だった。

一斉に浴びせられた視線に、先輩が微かにたじろいだ。


「ごめん。授業が少し長引いて」


お昼休み。
私は、真白ちゃんと一緒に生徒会室に来るよう、お兄ちゃんに呼び出されていた。

どうやら、ちよ先輩も同じみたいだ。

私と目が合うと、先輩は後ろ手に扉を閉めながら、戸惑った様子で口を開いた。


「……会議、ってわけじゃないみたいだね」


自分を待っていたのが、お兄ちゃんの他に、生徒会メンバーではなく、私と真白ちゃんであることに驚いているようだった。


お兄ちゃんは難しい顔をして、机の上に視線を落としながら、


「会議は会議でも、これは緊急会議なんだよ」

「……緊急会議?」


話が見えない様子のちよ先輩は、眉を寄せ、こちらに歩み寄って来る。

そして、お兄ちゃんの視線を追って——、さらに、眉間のシワを深くした。

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