ちよ先輩のてのひらの上。
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開いた扉に、みんな揃って入り口へと顔を向ける。急いだ様子で生徒会室に現れたのは、ちよ先輩だった。
一斉に浴びせられた視線に、先輩が微かにたじろいだ。
「ごめん。授業が少し長引いて」
お昼休み。
私は、真白ちゃんと一緒に生徒会室に来るよう、お兄ちゃんに呼び出されていた。
どうやら、ちよ先輩も同じみたいだ。
私と目が合うと、先輩は後ろ手に扉を閉めながら、戸惑った様子で口を開いた。
「……会議、ってわけじゃないみたいだね」
自分を待っていたのが、お兄ちゃんの他に、生徒会メンバーではなく、私と真白ちゃんであることに驚いているようだった。
お兄ちゃんは難しい顔をして、机の上に視線を落としながら、
「会議は会議でも、これは緊急会議なんだよ」
「……緊急会議?」
話が見えない様子のちよ先輩は、眉を寄せ、こちらに歩み寄って来る。
そして、お兄ちゃんの視線を追って——、さらに、眉間のシワを深くした。