ちよ先輩のてのひらの上。
「……なに、これ」
机に並べられた、——私とお兄ちゃんを映した写真。
その中から、ちよ先輩が1枚手に取った。
「……今朝、ひなたのロッカーに入ってたんだよ」
「……」
ちよ先輩の口から、
「これ、——盗撮、だよね」
固い声が落とされた。
「……だよな」
お兄ちゃんは悩ましげに息を吐き出して頭を抱え、そのままガシガシと髪を乱した。
——盗撮……。
私は、ちよ先輩の言葉を心の中で繰り返した。
やっぱりという気持ちと、不穏なその響きに、改めて不安な感覚が生まれる。
——封筒に入っていた写真を見た瞬間に、私とお兄ちゃんも、その違和感をすぐに感じ取った。
覚えがないというのもそうだけれど、……写っている私たちは、カメラの存在に気がついていないように見える。
まるで、遠くから見つめる誰かの視点をそのまま切り取ったような……。