ちよ先輩のてのひらの上。
「とにかく、しばらくはひなちゃんをひとりにできないね」
「そうなんだよ。だから、俺が常に傍についててやるって言ったんだけど……」
「——そんなの、絶対ダメ」
私が即答すると、お兄ちゃんがほらな、と言いたげにちよ先輩を見た。
「だって、……この写真、全部私とお兄ちゃんが一緒に映ってるんだよ?お兄ちゃんと一緒にいたら、犯人をさらに刺激しちゃうに決まってる」
お兄ちゃんが私の勢いに押され、押し黙る。
みんなの視線を感じながら、私はぎゅうっとスカートを握りしめた。
目元が染みるように痛んで、じわりと視界が滲む。
——誰かに悪意を向けられているかもしれないという事実は、とても恐ろしいものだった。
いったい、私が何をしたっていうんだ。
そう叫んで、逃げ出してしまいたかった。