ちよ先輩のてのひらの上。


「とにかく、しばらくはひなちゃんをひとりにできないね」

「そうなんだよ。だから、俺が常に傍についててやるって言ったんだけど……」

「——そんなの、絶対ダメ」


私が即答すると、お兄ちゃんがほらな、と言いたげにちよ先輩を見た。


「だって、……この写真、全部私とお兄ちゃんが一緒に映ってるんだよ?お兄ちゃんと一緒にいたら、犯人をさらに刺激しちゃうに決まってる」


お兄ちゃんが私の勢いに押され、押し黙る。

みんなの視線を感じながら、私はぎゅうっとスカートを握りしめた。

目元が染みるように痛んで、じわりと視界が滲む。


——誰かに悪意を向けられているかもしれないという事実は、とても恐ろしいものだった。

いったい、私が何をしたっていうんだ。

そう叫んで、逃げ出してしまいたかった。

< 49 / 225 >

この作品をシェア

pagetop