ちよ先輩のてのひらの上。
「……あの」
今まで黙って話を聞いていた真白ちゃんが、遠慮がちに口を開いた。
「……結城先輩の代わりに、私がひなたちゃんの傍にいます。ふたりでいれば、きっと犯人も簡単には近づいて来れませんよね?」
「……真白ちゃん……」
思わず涙ぐんだ目で隣を見つめた。
真白ちゃんは私を安心させるように、優しい微笑みを向けてくれる。
——なんて、いい友達なんだろう。
求めていた『平穏』の文字は、こうしてバラバラに崩れて消え去ってしまったけれど……。真白ちゃんと出会えたことだけで、私はもう十分だ。
お兄ちゃんも感動した様子で、
「……ありがとな、真白ちゃん」
呟くようにそう言った。