ちよ先輩のてのひらの上。
「わかってる。……俺の目の届かないところでは、ひなたと真白ちゃんに常に一緒に行動してもらうとして。校外での、人目が少ないとき……例えば登下校のとき。そこは俺が傍についておくようにするから」
「……お兄ちゃん。私の話、聞いてた……?私は、お兄ちゃんとは一緒にいないほうが……」
「聞いてたって。……聞いてたから、ちよを呼んだんだろ。俺が傍につくのは、真白ちゃんのほう。協力してもらうかわりに、責任を持って家まで送り迎えをするつもり」
「えっ」
真白ちゃんがただでさえパッチリとした目を、さらに丸くさせる。
私も、ぱちぱちと瞬いた。
一方で、
「……なるほどね。わかったよ」
ちよ先輩は一足先にお兄ちゃんの考えを理解したようで、ふっと唇をほころばせた。
——それって、つまり……。
「まあ、苦渋の選択というか……。ひじょーーーに仕方なく、ってわけで」
まるで人にものを頼む態度とは思えないくらいふてぶてしい態度で、お兄ちゃんは腕を組みながら言った。