ちよ先輩のてのひらの上。


私のお兄ちゃんは、いわゆる有名人だ。

顔よし、頭よし、運動神経よし……。まるで神様に気に入られているとしか思えないくらいに、幼稚園の頃から、やたらと注目のマトとなっていた。

そんなお兄ちゃんの妹をやっていると、……いい意味でも悪い意味でも、自然と目をつけられてしまう。

今までの私にとっては、圧倒的に、悪い出来事のほうが多かった。


例えば……。小学生の頃、一番仲良くしていた女の子に、「そらくんと仲良くなりたかったから、仕方なくひなたちゃんと遊んでいた」と言われたことがある。

幼い故の素直すぎる言葉は、私の心を深く突き刺さした。

……たぶん、一生忘れられない。


結局、泣きじゃくりながら帰宅した私を見て、お兄ちゃんは後日、その子に絶交を言い渡してきてやったと、ドヤ顔で私に報告した。

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