ちよ先輩のてのひらの上。
「やーい、引っかかったー!女の子っていうのは嘘で、ふたりを呼び出したのは先生でしたーっ」
「……え」
「真白ちゃん、ずばりどっち?会長?それとも副会長?」
「ひどい……。安川先輩、イジワル……」
顔を真っ赤にして、不貞腐れたようにそう呟いた真白ちゃん。
その姿に、安川先輩がうっ、となにやら胸を押さえた。
「……真白ちゃん。今の、すごくよかった。もう一回言って」
エヘエヘとだらしない顔で懇願する安川先輩の後頭部を、パコンッ、と丸まったファイルが叩く。
隣にいた会計の辻村先輩が、渾身の冷めた目を向けていた。
「……いってぇ」
「この変態。可愛い1年生にセクハラしないで」
「辻ちゃん……今結構、本気で叩いたでしょ」
「当たり前」
辻村先輩は即答して、つん、と顔を背けた。
安川先輩から一番離れた席を差して、
「ごめんね、真白ちゃん。こっち座りな。……ふたりとも、安川にはあんまり近づかないほうがいいよ」