ちよ先輩のてのひらの上。


「やーい、引っかかったー!女の子っていうのは嘘で、ふたりを呼び出したのは先生でしたーっ」

「……え」

「真白ちゃん、ずばりどっち?会長?それとも副会長?」

「ひどい……。安川先輩、イジワル……」


顔を真っ赤にして、不貞腐れたようにそう呟いた真白ちゃん。

その姿に、安川先輩がうっ、となにやら胸を押さえた。


「……真白ちゃん。今の、すごくよかった。もう一回言って」


エヘエヘとだらしない顔で懇願する安川先輩の後頭部を、パコンッ、と丸まったファイルが叩く。

隣にいた会計の辻村(つじむら)先輩が、渾身の冷めた目を向けていた。


「……いってぇ」

「この変態。可愛い1年生にセクハラしないで」

「辻ちゃん……今結構、本気で叩いたでしょ」

「当たり前」


辻村先輩は即答して、つん、と顔を背けた。

安川先輩から一番離れた席を差して、


「ごめんね、真白ちゃん。こっち座りな。……ふたりとも、安川にはあんまり近づかないほうがいいよ」

< 72 / 225 >

この作品をシェア

pagetop