ちよ先輩のてのひらの上。


「もちろんわかると思うけど、会長はすげー人気だよ。だけど……なんていうか、みんなのそら先輩っていう感じなんだよ。告白といっても、好意を伝えて終わり、っていう子が多いみたい。だからなのか、本人はモテてる自覚がないんだよなあ」


……。
お兄ちゃんて……やっぱりどこか、ボケてる気がしてきた……。

ちょっぴり残念な人な気がするけど、大丈夫なのかな。

思わず真白ちゃんの顔色を伺うと、違う意味に受け取られたようで、「黙っててごめんね」と小さな声が返ってきた。

慌てて首を振る。


「少なくとも俺たちがそら先輩と知り合ってからは、彼女いたことなかったよ。な?」


安川先輩が確認するように首をひねると、辻村先輩がうん、とそれを肯定した。


「……それに、ほら」


安川先輩が、愉快そうに私を見る。


「ひなたちゃんが入学する前から、妹のことが大好きだって、有名だったから」

「……」


——お兄ちゃんってば……っ。

私は、がっくりと項垂れた。

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