ちよ先輩のてのひらの上。


「そうなんですね」


そう言って、真白ちゃんがホッと息をつく。

その可愛らしい様子を見ていると、心から応援したい気持ちがムクムクと湧き上がってきた。

……真白ちゃんの気持ちにちっとも気がついてあげられそうにないお兄ちゃんに対して、怒りまで湧いてきそうだ。


お兄ちゃんのとぼけた顔を思い出していると、


「そら先輩はそんな感じかな。……対してちよ先輩のほうは、俺の知ってるだけで……」


——私の心臓が、ひゅん、と跳ねた。

安川先輩が、指折り数える。


「3人だっけ」

「……2人じゃない?」

「あ、そっか。結局あの1こ下の子とは、付き合わなかったのか」

「ちょうど、副会長に決まった頃に告白された子でしょ?」

「そうそう」

「いい感じだったのにね」

「まあ、ちよ先輩のほうは、女の子の扱いに慣れてるからなあ。……そりゃあもう、競争率は高いよ」

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