ちよ先輩のてのひらの上。



***



「……あの、ひなたちゃん……だっけ」


ホームルームを終えると、前の座席の女の子が私を振り返った。


「あ、うんっ。……えっと……」

「私、 柳瀬真白(やなせましろ)。よろしくね」

「……よ、よろしくっ」


お花みたいな笑顔を向けられて、私は感動のあまりペコペコと頭を下げた。


——これは、順調なスタートを切れたかもしれない……。

……真白、ちゃん。


心の中で呼んでみると、たちまち感動がやってくる。


「……よかったら、教科書受け取りに行くの、一緒に行かない?」

「え……うんっ。一緒に行こうっ」


声をかけて貰えた喜びを噛み締めながら、私は急いで荷物をまとめた。

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