ちよ先輩のてのひらの上。
私が困ったように笑うと、……辻村先輩の顔が、先ほど真白ちゃんに向けていた安川先輩の怪しい笑みと、そっくりになった。
「……で?その付き添ってくれた男の子が、ひなたちゃんの初恋の人?」
「……えっ」
「その子の話をしてるときのひなたちゃんの顔……すごーく可愛かったもん」
隣にいる安川先輩も、うんうんと頷く。
「この場にそら先輩がいたら、きっと、ショックで白目向いて気絶してただろうね」
「——俺がなんだって?」
突然聞こえた声に、私たちはビクリと飛び上がる。
分厚い紙の束を抱えたお兄ちゃんとちよ先輩が、いつの間にか戻ってきていた。