ちよ先輩のてのひらの上。


1階へと降りたところで、思わず、うわあと声を上げた。既に多くの新入生が、教科を買うのに廊下いっぱいに並んでいたからだ。


「時間かかりそうだね……」

「うん。お腹空いちゃうね」

「ほんとだよお。……ね、今、何食べたい?」

「うーん……。待ってね、お腹に聞いてみる」

「ええ?何それ」


真白ちゃんが、可笑しそうに笑う。


……よし。掴みは、バッチリ……。

なんだか波長も合うし、仲良くなれそう……。

——願わくは、平穏な高校生活。
今の所、思い描いてるそれに近づいている気がする……。


ホッと安堵して、朝からの緊張がようやく解れてきた、そのとき。


「お、いたいた。……ひなた!」

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