ちよ先輩のてのひらの上。
「ひなちゃん、真っ赤だよ。……可愛いね」
……まるで、体中が燃え上がっているみたいに熱い。
全身の血液が、沸騰してしまうんじゃないかというくらいだ。
「そんな顔されると……、どこまで赤くなるのか、試してみたくなっちゃうな」
「……っ」
私はたまらなくなって、顔を背けた。
髪のカーテンで、ちよ先輩からの視線を遮る。
……こんなの……。
——もう、いっぱいいっぱいだ。
「……からかわないでください……」
震える声で、私は訴えた。
顔の熱が、徐々に、瞳へ集まってくる。
「私は、……知らないこと、だらけなんです」
きゅ、と唇を噛み締めた。
「ちよ先輩とは、違うんです……」
女の子の扱いに慣れていて。いつだって余裕で。
なにも知らない私ばっかり、振り回されている。
……私の心はこんなにもかき乱されるのに、私は同じようにちよ先輩の心を動かせない。
……それがとても、悔しい。