ちよ先輩のてのひらの上。
「……どうかな」
「……ちよ、先輩……」
「答えて、ひなちゃん」
抑えられない胸の高鳴りが、私の思考をくらくらとさせる。
なにも考えられない。
けれど、……気づけば私は、先輩の綺麗な瞳に魅入られながら、口を開いていた。
「……おしえて、……欲しいです……」
私の震える声が、ふたりきりの生徒会室に響いた、その瞬間。
ちよ先輩の表情が、満足げにほころんだ。
「——いいよ」
先輩は私の後頭部へと手を添えると、……そのまま、胸に抱き寄せた。
優しく背中へと腕を回され、力を込められる。
されるがまま抱きしめられていると、頭上で先輩が微笑む気配がした。
「……男とこうするの、初めて?」
「……はい……」
小さい声で返事をすると、そっか、と先輩も小さな声で呟いた。
そのまま、しばらく頭を撫でられる。
髪をとくように触れられる心地よさに身を委ねていると、先輩が微かに身を離し、私を見下ろした。
応えるように顔を上げると、……思った以上に、先輩の顔が至近距離にあった。