ちよ先輩のてのひらの上。


髪に触れていた手が、ゆっくりと滑るようにして頬へと移動する。

……そして、親指が、なぞるように私の唇に触れた。

その感触が、次に起こることを予感するように、ビリビリと甘い刺激となって私の体を駆け巡る。


「……嫌だったら、ちゃんと言ってね」


先輩の気遣うような言葉に、私は弱々しく首を振った。


「嫌じゃ、ない……。先輩にされて、嫌なことなんて、……ないですから……」

「……そうなんだ」


先輩が、ふっと口角を上げた。

私の唇の端に、吐息がかかる。


「わかった。……じゃあ、ひなちゃんが知りたいこと、全部……俺が教えてあげる」


ちよ先輩の顔が、ゆっくりと近づいた。


「これが、……キスだよ」

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