白と黒の執着 ~モブの予定が3人で!?~
確かにゲームは開始した。
始まった、はずだった。
現在、ブランは21歳。私とノワールは19歳。
先月開催された第一王子と第二王子の花嫁を探すための王宮のダンスパーティーで、確かに二人はヒロインと出会った。
二人がヒロインと出会ったら、私は二人とは距離を置こう。
この世界が『白黒』の世界だと、自分がルディアーヌだと、思い出した時からずっと心に決めていた。
――だって、ルディアーヌのパートナーになってしまった王子は死んでしまうから。
ヒロインは可憐だった。守ってあげたくなるような女の子だった。
柔らかい印象の茶髪と大きな瞳が小動物みたいで。でも、芯は強くて、愛した王子を必ず幸せに導く女の子。
如何にもライバルキャラな派手派手しい金髪で、気が強そうなつり目で、胸だけがやたら大きい、イメージカラーが深紅なんていう毒々しい私とは正反対だ。
初めて会うブランとノワールに見惚れて頬を染めるヒロインの姿に、何故か胸の痛みを感じながらパーティー会場に背を向ける。
いつもならブランとノワールとダンスをするのは私の役目だったけれど、ヒロインが現れた今それももう終わりだろう。平和になったこの国に悪役令嬢の存在は必要ない。
――そう、そう思っていたのに!
「ダメ、ブラン、そこ、グリグリしないで……っ」
「でもルディ。ここ、好きでしょう? ほら!」
「――!」
楽しそうに唇を歪ませたブランが知り尽くした動きで私の内側を抉る。
もう、何度目かわからない絶頂に意識が遠くなるけれど、背後から伸びる手がそれを許さない。
「まだだぞルディアーヌ。ここを可愛がってやるから起きるんだ」
「っ――!」
そう。先月のヒロインとの出会いイベントの日。
ヒロインと二人の視線が絡むのを見届けて、ダンスパーティーの会場をこっそり抜けようとしたあの夜。
何故か私を追いかけて来たブランとノワールに、良い機会だと思った私は今後は二人と距離を置くことを宣言した。
『ブラン、ノワール。運命の相手は見つかったでしょう? あの子と3人で幸せになってね。これからのダンスの相手は私じゃないわ』
あの時、空気が凍る音というものを二度の人生で初めて聞いた気がする。
そこからは無言になったブランとノワールに強制的に二人の私室へ連れ去られ、ベッドに放り投げられ、純潔を散らされた。
あの時も、何度も何度も絶頂に押し上げられて。
気がついた時にはダンスパーティーの夜から3日が経ち、私と二人の婚約が発表された後だった。
「でも、私は、ブランとノワールの側に居ちゃいけない存在だから……っ」
「……まだそんな事を言っているのルディ」
「闇に飲まれそうだった俺たちを救ってくれたのはルディアーヌお前なのに」
「むしろ君がいなきゃ僕たちは駄目になる。君がいない人生など考えられない」
「でも、でも……!」
「今度は俺たちが、お前を守る。絶対にお前を悲しませたりしない」
「……っ、あ!」
ブランに真剣な眼差しで見つめられて。
ノワールに後ろから力強く抱き締められて。
快楽とは別の理由で涙が滲む。
「ブラン、ノワール……!」
私だって。
「私だって、本当は、ブランとノワールと離れたくない……っ」
全てのエンディングをクリアするほど。
どの貴族たちがいつどんな行動をするか暗記するほど。
私は白黒のヘビーユーザーだった。白黒の世界に、そして白黒の王子たちに夢中だった。
けれどそれ以上に。
画面の向こうのキャラクターなんかじゃなくて。
生まれた時から側にいて、一緒に笑って泣いて。
数えきれないほどの思い出を共有してきた幼なじみの兄弟を。
かけがえのない彼らを。
「……ブランとノワールを愛しているの」
「ルディ!」
「ルディアーヌ!」
ブランとノワール、二人の唇が息を継ぐ間もないくらい私にキスを降らせた。
始まった、はずだった。
現在、ブランは21歳。私とノワールは19歳。
先月開催された第一王子と第二王子の花嫁を探すための王宮のダンスパーティーで、確かに二人はヒロインと出会った。
二人がヒロインと出会ったら、私は二人とは距離を置こう。
この世界が『白黒』の世界だと、自分がルディアーヌだと、思い出した時からずっと心に決めていた。
――だって、ルディアーヌのパートナーになってしまった王子は死んでしまうから。
ヒロインは可憐だった。守ってあげたくなるような女の子だった。
柔らかい印象の茶髪と大きな瞳が小動物みたいで。でも、芯は強くて、愛した王子を必ず幸せに導く女の子。
如何にもライバルキャラな派手派手しい金髪で、気が強そうなつり目で、胸だけがやたら大きい、イメージカラーが深紅なんていう毒々しい私とは正反対だ。
初めて会うブランとノワールに見惚れて頬を染めるヒロインの姿に、何故か胸の痛みを感じながらパーティー会場に背を向ける。
いつもならブランとノワールとダンスをするのは私の役目だったけれど、ヒロインが現れた今それももう終わりだろう。平和になったこの国に悪役令嬢の存在は必要ない。
――そう、そう思っていたのに!
「ダメ、ブラン、そこ、グリグリしないで……っ」
「でもルディ。ここ、好きでしょう? ほら!」
「――!」
楽しそうに唇を歪ませたブランが知り尽くした動きで私の内側を抉る。
もう、何度目かわからない絶頂に意識が遠くなるけれど、背後から伸びる手がそれを許さない。
「まだだぞルディアーヌ。ここを可愛がってやるから起きるんだ」
「っ――!」
そう。先月のヒロインとの出会いイベントの日。
ヒロインと二人の視線が絡むのを見届けて、ダンスパーティーの会場をこっそり抜けようとしたあの夜。
何故か私を追いかけて来たブランとノワールに、良い機会だと思った私は今後は二人と距離を置くことを宣言した。
『ブラン、ノワール。運命の相手は見つかったでしょう? あの子と3人で幸せになってね。これからのダンスの相手は私じゃないわ』
あの時、空気が凍る音というものを二度の人生で初めて聞いた気がする。
そこからは無言になったブランとノワールに強制的に二人の私室へ連れ去られ、ベッドに放り投げられ、純潔を散らされた。
あの時も、何度も何度も絶頂に押し上げられて。
気がついた時にはダンスパーティーの夜から3日が経ち、私と二人の婚約が発表された後だった。
「でも、私は、ブランとノワールの側に居ちゃいけない存在だから……っ」
「……まだそんな事を言っているのルディ」
「闇に飲まれそうだった俺たちを救ってくれたのはルディアーヌお前なのに」
「むしろ君がいなきゃ僕たちは駄目になる。君がいない人生など考えられない」
「でも、でも……!」
「今度は俺たちが、お前を守る。絶対にお前を悲しませたりしない」
「……っ、あ!」
ブランに真剣な眼差しで見つめられて。
ノワールに後ろから力強く抱き締められて。
快楽とは別の理由で涙が滲む。
「ブラン、ノワール……!」
私だって。
「私だって、本当は、ブランとノワールと離れたくない……っ」
全てのエンディングをクリアするほど。
どの貴族たちがいつどんな行動をするか暗記するほど。
私は白黒のヘビーユーザーだった。白黒の世界に、そして白黒の王子たちに夢中だった。
けれどそれ以上に。
画面の向こうのキャラクターなんかじゃなくて。
生まれた時から側にいて、一緒に笑って泣いて。
数えきれないほどの思い出を共有してきた幼なじみの兄弟を。
かけがえのない彼らを。
「……ブランとノワールを愛しているの」
「ルディ!」
「ルディアーヌ!」
ブランとノワール、二人の唇が息を継ぐ間もないくらい私にキスを降らせた。