目が合った、理由
右手に握られているペンは、私が司君を真似してこっそり買った種類と同じものだった。

あわよくば話すきっかけになんて思って買ったものだったけど、まさかこんな時に妄想が現実になるなんて…!


よし、今だ!

事態を整理しきれていない脳みそを無理矢理回転させ、チャンスを逃すまいと勢いよく顔を上げ、

言った。



「ああ!うんそのペン知ってる!というか持ってるよ!司君も使ってるんだ!そのペン使いやすいよね、蛍光ペンなのにパステルカラーでかわいいし見た目もオシャレだよね!だっ大事にしたいから無くさないようにキャップに名前書いてるんだ!」



…言ってしまった。

一息で。

今まで妄想で考えてたエピソードトーク候補を全部言ってしまうとは。


完全に引かれてしまった…。
気付いてしまったときには、時既に遅し。

絶望のあまりなにも言えず視線を彷徨わせていると、
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