甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

「あ、クマ先生。この前電話で喉枯れてらしたので、私のど飴持ってきたんです。デスクに置いておくので、もしよかったら」

何とか話題を逸らそうと試みたのに、別室で心電図の準備をしていた三橋さんが耳ざとく聞いていたみたいで、「やっぱりあのイケメン先生は瀬尾さん狙いだったか―!」と言いながら会場に入ってきたことであっさり失敗に終わった。


結局、お昼休みは織田さんを含めた何人かに事情聴取といってランチを食べながら、付き合うまでの経緯を根掘り葉掘り聞かれることになった。

その流れで元カノである女医の佐々木さんのことも白状させられてしまい、彼女が貴船さんが以前勤めていた病院の医師であることがわかった。

「佐々木麗子先生。こう言っちゃアレだけど、あんまり評判のいい先生じゃなかったわ。美人なだけにお高くとまってて、私達看護師を馬鹿にしてるのが丸わかりだったし」

確か3~4年前に別の病院から移ってきたと貴船さんが言っていて、結婚願望のなかった悠さんと別れた頃かなと思考を巡らせた。

「確かその病院の息子と付き合ってるって噂だったよ。その息子も医者なんだけど、見た目だけで腕は全然。まぁ外見は凄いお似合いだったわ、白衣着て2人で並んでるとドラマみたいだったもん」

噂になっているその人が、きっと佐々木さんが悠さんと別れてまで選んだ人なんだろう。
結婚はしなかったんだろうかという疑問は、織田さんの一言で頭から消えてしまった。


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