甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

「そんな美人なの?」

織田さんは興味本位で聞いてるだけだとわかっていても、以前会った佐々木さんの自信に満ちた美しさを思い出して胸が痛む。

きっと悠さんと並んでいるときだって、美男美女でお似合いだという評価だったんだろうな。

悠さんは2度と会わないと言っていたし、私にはもう関係ない人だと頭ではわかっているのに、こうして話題に出るとつい比べて落ち込んでしまう。

「大学時代は読者モデルとかしてたみたいよ」
「へぇ。…あれ、瀬尾さん、何でへこんでるの?そんな嫌味な元カノ女医に負けてちゃダメよ!」

食事の手が止まった私に気付いた三橋さんが、軽く背中を叩いて励ましてくれる。
その優しさになんとか微笑みを返して、私は休憩時間に間に合うように箸を進めた。



◇◇◇

週間天気を見ると傘マークがずらりと並んでいて、情報番組でも2週間程前に気象庁から梅雨入りが発表されたと報道されていた。

6月に入り正式に病院勤務が始まると、悠さんは途端に忙しくなった。
私はC健に勤めているものの、恋人どころかプライベートで会うような友達にだってお医者さんはいなかったので、彼らが普段どれだけ忙しいのかなんて想像も出来なかった。

マメにくれていた連絡は目に見えて減り、私が休みである土日のたびにしていたデートも6月になって1度もしていない。



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