甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています
広々とした芝生にベンチが点在している中庭はおひさまの光がよく当たって気持ちがいい。梅雨も来週には明けて、夏が来る気配にワクワクする。
患者さんの気分転換のお散歩はもちろん、お医者さんや看護師さん達もここで休憩したりするのかな。
そう考えていた矢先、スクラブ姿の女性2人が休憩なのか飲み物片手に隣のベンチに座った。
他のベンチも埋まっているし、休憩しにきた人の邪魔になるようなら場所を変えようかな。
腰を上げようとした時、「お見合い?!」と隣から大きな声が聞こえて、思わずビクッと身体が跳ねた。
盗み聞きする気はなかったけど、そのまま会話が耳に届く。
「そう。でも彼女のために断ったみたい。帰ってきて早々大変だよね」
「彼女って、やっぱりあの女医?」
「じゃない?いいよねぇ玉の輿。婚活しよっかなぁ」
いつだったか同じような発言を聞いたなと思いつつ、隣の会話をシャットアウトしようと手元のスマホに視線を落とす。
すると、思いも寄らない名前が彼女達の口から出てきた。
「九条先生、見かけだけじゃなくて腕もいいし、上司からのお見合いもちゃんと断ってくれるとか最高の彼氏だよね」