甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています
毎日暑いしさっぱりしたものがいいと思い、豚の冷しゃぶの塩ダレ掛けと小松菜の梅おかか和え、鯵の開きと薬味をたっぷり使った炊き込み風まぜご飯を作ることにした。
献立に合わせて食材を買い込むと、調味料も合わせてかなりの量になった。
ネギやニラの飛び出たビニール袋をふたつ腕にぶら下げてマンションへ戻ると、エントランス前に見覚えのある綺麗な女性が立っているのが見える。
心臓がバクバクと嫌な騒ぎ方をして、暑さのせいじゃない汗が噴き出してくる。
どうして彼女がこのマンションにいるんだろう。
佐々木さんは歩いてきた私を視界に入れると、汗だくでスーパーの袋を持っている姿を見て鼻で笑った。
「あら。彼女じゃなくて家政婦にでもなったのかしら」
相変わらず綺麗で自信に満ちた佇まいと、その口から溢れる鋭い嫌味。
私が彼女に嫉妬してしまうのは、自分の自信の無さ故だとわかっている。
悠さんは、会うたびに私を甘やかし愛してくれる。
それを肌で感じるからこそ俯くのはやめようと、なんとか佐々木さんと視線を合わせた。
「悠さんならまだ帰っていませんが」
「知ってるわ。でも今は比較的落ち着いてるって聞いたから、そろそろ帰って来る頃かと思って。だからあなたもその荷物なんでしょう?」
「荷物?」