甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

本当に……?
確かに結婚願望がないと言っていたのは若い頃の話だけど、今悠さんは確かに私のことを想ってくれている。

それなのに、体裁だけでこの人との結婚を承諾なんてするだろうか。


―――ううん、きっとしない。

きっと彼女が1人で言っているだけ。
どうやってこのマンションを知ったのかわからないけど、悠さんは2度とこの人に会わないと言っていたんだから。

私は、悠さんを信じる。


「……私は、彼から聞くまでは信じません」

キッと睨むまでは出来なかったけど、彼女に強い視線を向ける。
こんなに綺麗な元彼女に1人で対峙しなくてはならないだなんて、恐ろしくて膝が笑う。

それでも、私は悠さんを信じたかった。

優位に話が進んでいたはずなのに私が折れなかったのが気に食わないのか、佐々木さんは憎々しげに私を睨み返す。

「随分な自信ね。いいわ、彼の勤める病院にでも聞きに行けば?」

フンと鼻を鳴らすと「なかなか帰って来ないからまたにするわ。いつでも会えるもの」と言って、エントランスホールを出ていった。


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