甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

隣の女性達はみんな私服姿だったけど、きっとこの病院の医療従事者なんだろう。仕事終わりなのか気が緩み、大きな声でとんでもない噂話をしている。

きっと隣に座っている冴えない小娘が、その"九条先生"の彼女だなんて微塵も思わないだろうな。

これ以上聞いてはいけない。
そう頭の中で警鐘がなっているのを無視して、私はその場で隣の会話に耳をそばだてた。


「でも居ても立ってもいられなくてさ、私先生を追いかけて聞いたの。結婚するんですかって」

『結婚』というワードに大きく心臓が跳ねる。

それで、一体悠さんはなんて答えたの……?!

「『聞いてたの?内緒ね』って!!」


――――――――え……?!


「この肯定も否定もしない感じ!なにそれーってなるでしょ?!」
「えー?!もうそれ確定じゃない!」

待って。それは、悠さんが佐々木さんとの結婚を暗に認めたってこと…?
あの人が1人で勝手に言ってるだけじゃなく、本当に結婚の話が進んでるってこと…?

『内緒ね』って、今はまだ発表のときではないけど、いずれ発表する気なの?
そうじゃないと、一緒に働いている同僚相手にそんな思わせぶりなことを言えないはずだ。


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