甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています
彼を信じる。
そう息巻いていたはずなのに、もうこれ以上どうやって信じたらいいのかわからなくなってしまった。
大事に想われているというのも、私の自惚れだったんだろうか。
2度と会わないと言っていたのに実際にはこうして職場で会っていたらしいし、私には話してくれていない事実もたくさんある。
それは全部私のためだと言い聞かせてみたけど、やっぱり無理があったのかもしれない。
あんなに完璧な人が私を選ぶはずかない。
あの人が言うとおりなのかもしれない。彼の隣に立っていいのは、私じゃないんだ…。
それなのに、せっせと料理を作ったりして…バカみたいだ。
甘い言葉に騙されて、幸せに酔ってしまっていた。
目頭にツンと痛みが走る。
じわりと視界が滲むのが不快で、なんとか唇を噛みしめる。
それでもぽたりと頬を伝う涙を止められはしなかった。
濡れた頬をぐいっと拭うと、耳につけたイヤリングに指先が触れた。