甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています
いざ現場に向かい、例の『遥ちゃん』に対面すると、思った以上に幼い印象を受けた。
小柄で華奢な身体と、黒目の大きなくりっとした瞳はうさぎやハムスターといった小動物を思い起こさせ、艷やかで真っ直ぐな黒髪が似合う彼女は何にも染められていない清らかな少女のように映った。
あの熊澤先生が絶賛するからどんな女性かと思ったら…。なるほど、息子の嫁に、ね。
そう納得しながら荷物を運ぶのを手伝おうとすると、彼女は見るからに重そうな機材を肩に担ぎ「これは私の仕事です」と言い切った。
男と女では体格も力も違い、出来る仕事に差が出るのは必然だ。
それを理由に重いものは男が運んで当然と思っている女性もいる中で、彼女は黙々と自分と同じくらいの大きさの機材を運んでいく。その姿に思わず目を奪われた。
健診が始まるとちょっとしたアクシデントがあった。
ある男性社員が待ち時間が長いと、健診をキャンセルすると言い出したのだ。
それを必死に止めて説得していた遥の姿に仕事への誇りを感じ、熊澤先生の言葉を思い出した。
『本当に純粋でいい子なんだよ』
現金なもので、この些細なきっかけで瀬尾遥という女性を意識し始めた。
派遣の放射線技師の男と仲良さそうに話している所に大人気なく割り込んで話しかけに行ったり、昼休憩を一緒に過ごそうとあれこれ画策しているうちに、あっという間に遥の魅力に囚われてしまった。