甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

病院勤務が始まってみれば思いのほか忙しい日々が始まり、毎日遥と連絡を取るということすら難しくなった。

寂しい思いをさせてしまっているのはわかっているものの、新たに抱える患者の多さに俺自身も余裕がなく、数日に1度のメッセージのやりとりのみ。

それでも遥は不満を漏らすこともなく【身体に気をつけてお仕事頑張って下さい】と健気に励ましてくれる。

久しぶりの激務に疲れた身体や、医局の教授から持ちかけられた見合い話に辟易していた精神を癒やしてくれるのは、そんな遥の思いやりに満ちた短いメッセージだった。

きっと色々話したいこともあるだろうに、長文だと迷惑になるだろうと、ごく簡単な挨拶だけで返ってくる。

そんな気遣いを有り難くも寂しく感じ、ますます愛おしさが心に降り積もる。

遥を知れば知るほど、その魅力に年甲斐もなくハマっていく自分がいる。

男に助けられたり奢られて当然だと思わないところ。食べる前に髪を結んでから両手を合わせる仕草。わからないことを正直に打ち明け教えを請う姿勢。水族館で子供のようにはしゃぐ無垢な顔。こちらの意図を正確に汲み取り返せる機転。

何もかもが心に刺さり、際限なく惚れ直す毎日。

自分がこんなにも恋愛にのめり込む日が来ようとは思いもしなかった。


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