甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

今日は久しぶりに早く帰れそうだと、電子カルテを確認しながら内心ニヤけている。

合鍵を渡した遥に泊まりに来るよう誘うと『ご飯作って待っててもいいですか?』と可愛すぎるOKの返事を貰った。

今夜から明日1日ずっと一緒にいられるのだと思うと、仕事にも精が出る。

普段会えない分、会えた時にはドロドロに甘やかしてやりたい。

甘えることが苦手な遥だからこそ、何でもしてやりたいのだと庇護欲のようなものが湧き上がる。


それと同時に面倒なことを思い返し、舌打ちしたい気分でため息を吐く。

関係を断って4年近く経つ佐々木麗子と再会したのは、間が悪いことに遥とのデート中だった。

あの時にハッキリと2度と会わないと意思表示をしたにも関わらず、一橋総合病院にまで押し掛けてきたのは3日程前のこと。

なんでも今勤めている病院の跡継ぎである息子が医療ミスを犯したらしく、見切りをつけて他の病院に移りたいらしい。

俺の父が健康推進会の現トップであることを知っている彼女は、伝手やコネを使えば簡単に別の病院を紹介してもらえると思っているようだった。

彼女は明言しなかったが、きっとその跡継ぎ息子が俺と別れて付き合い出した男なんだろう。
それに関してとやかく言いたいことはない。俺自身、別れる頃には留学の話も持ち上がっていたし、そうでなくても彼女との未来は見えなかった。


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