甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています
その夜、すぐに父に連絡を取り、事の次第を告げた。
父も、系列ではなくとも他病院の評判などは立場的に色々と耳に入るらしく、俺が言うことを理解してくれたようだった。
さらに医局の教授から見合いを勧められたのも、それに対する俺の断り文句も耳に入っていたらしく『真剣に付き合っている子がいるんだって?』と可笑しそうに水を向けられた。
そのうち紹介するから時間を取ってほしいと素直に告げると、一瞬驚いたような間があったあと、楽しみにしていると穏やかに言われた。
きっとこの話を聞いた母も驚いていることだろう。仕事一筋だった俺が両親に女性を紹介したことなど1度もないのだから。
遥は両親に会ってほしいと聞いて、戸惑ってしまうだろうか。
彼女はまだ22歳。結婚を意識する年でもない。
それでも、俺はもう遥以外との未来は見えないのだから、逃がすつもりもない。
そんなことを考えながら帰路につく。職場まで徒歩10分という立地はとても快適だった。
今日は特に遥が夕飯を作って待ってくれているのだと思うと、家に向かう足が自然と早くなる。
エントランスに入り、そのまま「お帰りなさいませ」と頭を下げるコンシェルジュの前を突っ切ってエレベーターホールに進む。
なんとなくコンシェルジュの男性の視線が気になったものの、今は1秒でも早く遥に会いたくて30階のボタンを押す。