甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています
部屋の鍵を開けると、部屋から漂ういい匂い。
食欲をそそられながら、それ以上に頬が緩む。そんな風に毎日家で遥が待っててくれたなら。
そう想像を膨らませ一歩玄関に入って気付く違和感に目を細める。
――――電気が、ついていない……?
廊下を進みリビングに踏み入れ電気を付けると、ダイニングテーブルにはすぐにでも食べられるようにセッティングされた料理。
しかし、そこに遥の姿はない。
念の為バスルームや寝室を覗いたが結果は同じだった。
慌ててスマホを見ても彼女から何もメッセージはなく、なぜか嫌な予感に胸がざわめく。
すぐに電話を掛けるが、一向に出る気配はない。
俺はすぐに踵を返すと、車のキーを手に部屋を飛び出した。
彼女に何かあったのではないか。
料理は完成しているのだから、確かに少し前までは部屋にいたはずだ。
ただどこか買い物や散歩に出掛けているだけならそれでもいい。
それでもどこか胸に不安が押し寄せ、応答しない電話がそれを煽る。
具合が悪くなって帰った…?それとも……。