甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています
それでも…今は互いに冷静ではない。
一晩置けば遥も少し冷静になって話をしてくれるかもしれない。
感情的になって泣いているだろう遥を置いて帰るのは忍びなく後ろ髪を引かれるが、このまま一晩ここで過ごすわけにもいかない。
自分は医者で、万が一にも熱中症で体調を崩すなんてことがあってはならないのだと、こんなときにまで仕事のことを考えてしまう自分に少し嫌気がさす。
『いいんです、だってそれが悠さんのお仕事なんですから』
いつだったか、呼び出しでデートの約束をキャンセルした俺に遥が言ってくれた。
あの日は確か急患で呼び出しがかかり、昼過ぎに一旦落ち着いたがまだ予断を許さない状況で、ほんの僅かな昼休憩中に遥に連絡をしたんだ。
何度もやり取りをする時間もなかったから、こちらの『会いたい』という言い分だけを一気に送っただけの自己中心的なメッセージ。
それに対し、遥は怒ることもなく俺の意図を汲み取って、返信が要らないように気遣い溢れる返事をくれていた。
それを読んだ時、やはり俺には遥しかいないと確信を強めたのは言うまでもない。