甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

「あの、朱音ちゃんと何かありました?」
「……いや。どうして?」

若干の気まずさを顔に滲ませ、私に質問を返してくる。
私は朱音ちゃんが合コンに行くらしいという話を口にしかけて、とっさに口を噤む。

この人の噂はC健で働いていれば嫌でも耳に入ってくる。
真偽は私にとって関係のないことなので気にしたことはなかったけど、朱音ちゃんが悲しい思いをするのなら別だった。

「あの、朱音ちゃん、私の大事な友達なんです。だから…泣かせるようなことしないでくださいね」

普段仕事の現場で必要最低限しか話したことのない私から、まさかプライベートなことで説教じみたことを言われるだなんて思っても見なかったんだろう。

じっと睨むように見つめながら放った発言に、友藤さんは目を丸くする。
その表情を見て、ハッと我に返った。

「すみません、失礼なこと言って」

慌てて頭を下げて自分のデスクに戻る。

私、何を勝手なことを言っているんだろう。
朱音ちゃんと友藤さんの関係性だって知らないし、もし2人の間に何かあったのだとしても私が口を挟む問題じゃない。

私が勝手に朱音ちゃんが友藤さんに傷つけられてしまうんじゃないかって想像して、思い込みで行きあたりばったりの忠告をするだなんて…。

こんなの、ただの八つ当たりだ……。


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