甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています
自己嫌悪に苛まれながら帰宅すると、マンションの前に佇む1人の男性の姿が見えた。
住人の誰かと待ち合わせだろうかと思いながら鞄から鍵を出そうとした所で、男性が私の足音に気が付きこちらを振り向く。
その彼が悠さんだと気付き慌てて踵を返そうとした時には、私は彼の腕の中に抱き締められていた。
「……っ」
「やっと会えた…!」
感極まったような悠さんの声音に、私の胸は懲りずにときめきキュンと鳴いた。
「遥…会いたかった…」
一向に緩まない力強い腕に抱き締められたまま、私は身じろぎも出来ずにその場に立ち尽くす。
――――私だって会いたかった。
この1週間、仕事をしていても家に帰ってからも悠さんのことが頭から離れなかったし、あたたかい腕に抱きしめられたかった。
どういうことなのかと佐々木さんから聞いた話を問い詰めたい気持ちだってあったし、普段しないような他人の恋愛事へ八つ当たりのように口を出してしまうほど追い詰められてもいた。
だけど彼女から聞いた話を悠さん本人から肯定されてしまった時、私はどんな顔をしていたらいいのかわからなかった。