甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています
涙を零すまいと俯いて唇を噛めばそれ以上どうしても話せなくなり、言葉を途切れさせた私の肩を、悠さんは強い力で掴む。
「遥、待って。一体何の話をしてるの」
悠さんの珍しく強く焦った口調に目線を上げれば、眉間に皺を寄せて全く意味がわからないという顔をしている。
「な、なんのって…」
「確かに父は健康推進会の理事長をしてるけど、家業でも世襲制でもないから俺が継ぐなんてあり得ない」
「……え?」
思いも寄らない悠さんの言葉に、間の抜けた声が出てしまう。
「なにより、俺は遥と結婚する気でいるし、父にもいずれ遥に会ってほしいと話してある」
覚悟を決めて始めた話がどんどん自分の思っていたのと違う方向に行き始め、最早頭の中はパニック状態。
「あー、こんな状況じゃなくちゃんと言うつもりだったのに…」
悠さんの小さなぼやきのような呟きが聞こえたけど、私はそれどころではない。
「え、でも…え…、結婚、わ、私…?」
悠さんから聞かされる話に何から驚いたらいいのか、頭の中が真っ白になってしまった。