甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

「ちょっと、…どういう意味?悠、あなたお父様に私の話をしておいてくれるって……」
「もちろん伝えたよ。今俺が言った通りにね」
「……っ」
「あぁ、でも言うまでもなかったらしい。父も君やあの病院の内情は聞いていたそうだしね」
「私はあのオペに関わってないわ!」
「医療ミスだけの話じゃない。患者にも同じ医療従事者の同僚にも敬意を払えない医者なんて、父は傘下の病院にはいてほしくないそうだ。もちろん、俺も同感だ」

プライドを衆人環視の中で粉々に砕かれ、真っ赤な唇をわなわなと震わせ睨みつけてくる。

しかしこの状況を作ったのは彼女本人だ。俺は一番言いたかった言葉を最後に投げつけた。

「二度と俺や遥の前に現れないで。次に遥を傷付けたら、絶対に許さない」


この昼過ぎの騒動はまたたく間に病院内を駆け巡り、同僚の医師や看護師だけでなく患者にまで毎日プロポーズの進捗を聞かれる羽目になった。

しかしそのお陰もあって二度と俺に見合いの話は来ないだろうし、恨みがましい目で睨みながら去っていった佐々木麗子が万が一再び病院に現れたとしても、最早彼女の言葉に耳を貸す人間はいないだろう。

どこからか熊澤先生の耳にまで入ったらしく、「遥ちゃんにプロポーズするんだって?それなら俺にも挨拶があって然るべきだよね」と、まるで遥の父親のように威圧する電話が掛かってきたのには笑ってしまった。

熊澤先生には感謝している。彼のおかげで遥に出会うことが出来たのだ。
事の次第を簡潔に伝え、落ち着いたら3人で信さんの店に行きましょうと言うと納得してくれた。



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